随分寝た気がしながら目が覚めた。ぼんやりとながら見えてきた周囲の景色から思うに、どうやら病室のようなベットに寝ているようだ。ベットの周囲には多くの男女がいるようで、口々に「爺さんが目覚めた」と言っている。何やらドクターらしき者が色々と検査をしている....やがて済んだようだ。疲労感の中でしばし微睡んだようだ...再び目を開いた時には、先ほどの病室ではない落ち着いた部屋にいた。多くの男女が居並んでい...
ぼんやりとながら見えてきた周囲の景色から思うに、どうやら病室のようなベットに寝ているようだ。ベットの周囲には多くの男女がいるようで、口々に「爺さんが目覚めた」と言っている。
何やらドクターらしき者が色々と検査をしている....やがて済んだようだ。
疲労感の中でしばし微睡んだようだ...再び目を開いた時には、先ほどの病室ではない落ち着いた部屋にいた。多くの男女が居並んでいた周囲も変わり、見覚えのあるような爺と婆が並んで座っていた。
爺と婆が交代に説明する話から、二人は10世代後になる私の子孫であることを知った。先ほどの病室の大勢の男女は爺婆の子や孫たちとのこと。今日、私が永い眠りから目覚める事を知って集まっていたのだそうだ。また、私が眠ってから300年経つ事を知った。
あれから数日経ち、寝ぼけていた私の頭脳も昔を思い出している。
不治の宣告を受けた私は悩みぬいた末に人工冬眠する道を選んだ。自然死する他に安楽死する方法もあった。最新技術であった人工冬眠は、冬眠から目覚める保証や、目覚めた未来が自身に適合するかといった不安要素が多かった。しかし、目覚めた未来や、人工冬眠中にも続くであろう医学の進歩により、生存期間が長くなるかも知れなかった。私は医学の進歩により不治の病が治るかもしれない未来に賭けた。
念のためということで精子を採取された後の出来事は知らない。そして、今は目が覚めている。
聞けば、精子から人工培養することでヒトを創造する技術が確立されたとのこと。そうして創造された子孫の10世代目がさっきの爺婆だったということらしい。飛躍的に進歩した医学により、不治と宣告された私の病は人工冬眠中に修復されたのだそうだ。そうして、人工冬眠の契約期間であった300年後のあの日に子孫一同が集って私の眼覚めを待っていたのだそうだ。
私の筆頭子孫である爺婆はもとより、子孫と称する半数は私の風貌よりも年上に見える。そんな子孫たちに先祖と呼ばれる事には抵抗があるが、まあ先祖には間違いないのだから仕方が無い。
今日は、子孫の中でも一番スタイルの良いエミリと海水浴だ。彼女の膝枕は悪くはない。 end
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今の世の中、1日長生きすれば新しい医術に巡り合えるかもしれない。無論、どんなに待ってもダメかも知れない。しかし、時間が解決できる事は多いのだろう。♪生きてりゃいいさ
5年後に治る可能性 「遺伝子治療技術」で難病が消えていく|日刊ゲンダイヘルスケア